『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』レビュー|軽くてよく写る、お値段以上の望遠レンズ

カメラ沼にハマり出すと、1本は持っておきたくなるのが望遠レンズ。
遠くの被写体を大きく捉えたり、圧縮効果で景色を詰め込んだりと、望遠レンズにしかできない表現が魅力的で。
とはいえ望遠レンズは出番が少ないこともあり、「なかなか手が出せない…」という人も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、富士フイルム純正で一番安価な望遠レンズ『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』です。
エントリー向けのレンズなんですが、3万円台から入手できるとは思えないほど写りが良くて。
ボケ感やAF性能など不満点はあるものの、望遠レンズとしては375gと軽く、手ブレ補正も備えている隠れた銘レンズだったり。
そんな『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』について、25枚の作例とともに使用感を紹介していきます。

- 3万円台から購入できる
- お値段以上の高い描写力
- 375gと軽く取り回しがしやすい
- 3.5段分の手ブレ補正がある
- フィルター径が小さくコンパクト
- インナーズーム式ではない
- 絞りリングがない
- 手ブレ補正をOFFにできない
- 防塵防滴がない
- ボケ感がやや硬め
- AFがややモッサリ
FUJIFILM『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』の作例
まずは、このレンズでどんな写真が撮れるのかを見ていただこうかなと。

























いかがだったでしょうか。
カメラの腕は別として、良さげなカットは何枚か見つかるんじゃないかなと思います。
『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』の特徴・外観

『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』はフジで使える数少ない望遠レンズのひとつ。
同じような焦点距離を持っている純正レンズとスペック比較してみました。
製品名 | 今回紹介するレンズ XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II | XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS | XF70-300mm F4-5.6 R LM OIS WR |
イメージ画像 | |||
焦点距離 (35mm判換算) | 50〜230mm (76〜350mm相当) | 55〜200mm (84〜305mm相当) | 70〜300mm (107〜457mm相当) |
開放F値 | F4.5〜F6.7 | F3.5〜F4.8 | F4〜F5.6 |
手振れ補正 | 3.5段分 | 4.5段分 | 5.5段分 |
サイズ | W端:φ69.5mm×111mm T端:φ75mm×177mm | W端:φ75mm×118mm T端:φ75mm×177mm | W端:φ75mm×132.5mm T端:φ75mm×205.5mm |
重量 | 375g | 580g | 580g |
最短撮影距離 | 110cm | 110cm | 83cm |
フィルター径 | φ58mm | φ62mm | φ67mm |
最大撮影倍率 | 0.2倍 | 0.18倍 | 0.33倍 |
絞り羽根 | 7枚(円形絞り) | 7枚(円形絞り) | 9枚 |
発売日 | 2015年6月25日 | 2013年5月25日 | 2021年3月18日 |
公式価格 | 58,300円 | 102,300円 | 121,000円 |
XCレンズは廉価モデルゆえXFよりスペックは劣りますが、そのぶん軽くて半額程度で購入できる点はメリット。
僕はセール時に実質24,000円ぐらいで購入できました。安すぎ。
ダブルズームレンズキットにも同梱されているレンズなので、フリマサイトで新品同様を安く手に入れることもできますよ。

レンズの外観はこんな感じ。
全長はワイド端で約11cmと望遠ズームレンズとしてはコンパクトなほう。

パッと見は標準域レンズぐらいのサイズ感ですね。
ただ、インナーズーム式ではないので、テレ端にすると鏡筒が伸びます。
さらにレンズフードを着けるとかなりの存在感に。かさばるので基本は着けていません。


ズーム域は35mm判換算で、76〜350mmあります。
こんな感じで結構ズームできます。


安価なレンズの割にはズーム域が広くて、ワイド端からテレ端まで一定して解像度も高く感じます。
レンズ本体はマウント部も含め全身プラ素材。


防塵防滴がなかったり、高級感のある金属ボディと比べた時のチープ感は否めないけど、軽いのは正義。

ズームリングはゴム製で、回すとやや引っ掛かりを感じる固さ。
代わりに自重で鏡筒が伸びることはないです。
絞りリングはありません。フロントダイヤルなどにF値操作を割り当てる必要があります。
フィルター系はφ58mmと小さめなので、レンズフィルターも安く買い揃えられるのがうれしい。
『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』の使用感レビュー

実際に使ってみて感じたことは以下の5つ。
軽くて扱いやすい
軽いからこその機動力。
望遠レンズというと重たいイメージがありますが、このレンズはプラ製なのでとにかく軽い。
これならサブレンズとしても常備しやすいですね。
カメラを構える時もフロントヘビーにならないので、安定してシャッターを切ることができます。
3.5段分の手ブレ補正でブレにくい
手ブレ抑止のため、普段はシャッター速度が1/60秒以上となるように調整しているんですが、このレンズなら約1/15秒まではいけるかなといった印象。
手ブレ補正があることでジャスピン率が上がるし、ISOも極力下げることができます。
手ブレ補正はあくまで保険程度としか考えていませんが、使える写真が増える確率が上がるのはありがたいこと。
「良いカットに限ってピンボケしてる…」なんてことが結構あるので。
ただし、このレンズは手ブレ補正のON/OFFを切り替えできないのがデメリット(常にON状態)。
三脚を使って長時間露光などをする場合は、逆にブレが生じてしまう可能性もあるので要注意です。
AFがややモッサリしている
AFが機敏ではないので、シチュエーションによっては動体撮影がシビアに感じるかもしれません。
特に室内での撮影や夜の撮影時など、暗所で撮影する時はピント合わせに時間がかかることも。
晴れた明るい空の下で使用する分にはさほど影響はないので、子どもの運動会でも十分に活躍してくれると思います。
ボケ感はやや硬めな印象
F4.5スタートの暗いレンズのため、とろけるような柔らかいボケ感や被写体を引き立たせる立体感は出しにくいです。
ざわつく感じは抑えられていますが、特に背景ボケは硬めかなという印象。
そこでコツとしては、被写体と距離のあるモノを背景に選ぶようにすれば、ボケの硬さを緩和させることができます。
あと、前ボケを入れることでふわっとした表現を狙えることも。
作例のボケ感をみてやっぱり満足できないという人は、上位モデルの『XF55200』や『XF70300』をおすすめします。
絞りリングがないのは意外と気にならなかった
僕は基本絞らずに撮るスタイルなので、絞りリングがなくても支障は感じませんでした。
風景をカッチリ撮りたい時など、絞りたい時は割り当てしたダイヤルを操作すれば調節できるので。
ただ、絞りリングがないと困るという人もいると思うので、そこは評価が分かれるところかもしれません。
『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』レビューまとめ

今回は富士フイルム純正の望遠レンズ『XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II』をレビューしました。
安価モデルなので使い勝手がいまひとつな面もありますが、写りのレベルはガチでお値段以上。
たった3万円台で望遠レンズの表現力が手に入ると思えば、これは“買い”なんじゃないかなと。
「はじめての望遠レンズを検討中」「手軽に表現の幅を広げたい」という人にぜひおすすめしたいレンズです。