オーディオインターフェイスを選ぶうえで、僕が求めていたのは音質とコンパクトさの両立。
音楽を聴くためのDACとしても使いたいし、配信やギターの録音、将来的にはDTMもやってみたい。
でも、デスクの上にはできるだけ大きな機材を置きたくないと思っていて。
そんな条件で探して辿り着いたのが、RMEの『Babyface Pro FS』でした。

- フラットで解像度の高いサウンド
- 低ノイズ・低歪みなAD/DAコンバーターとマイクプリアンプ
- USBバスパワーで動作する
- コンパクトながら最大12in / 12outまで拡張できる
- TotalMix FXによる自由度の高いルーティング
- TotalMix FXでEQ・リバーブ・エコーを使える
- RME独自ドライバーで低レイテンシーかつ安定して使える
- 長期間にわたってドライバーが更新されている
- TotalMix FXは慣れるまで少し難しい
- TotalMix FXでコンプレッサーを使えない
- 本体に電源スイッチがない
購入時は約14万円となかなか勇気のいる価格でしたが、何年か経った今でもホントに買って良かったと思っています。
Babyface Pro FSの良さって、単純に「音が良い」だけじゃないんですよね。
高品質な入出力、低レイテンシー、柔軟なルーティング、USB駆動、そして動作の安定性。
その全部をこのサイズにまとめているところに、大きな魅力を感じています。
そんなRME Babyface Pro FSについて、音質や配信での使い勝手、これからのDTM用途まで含めて、特徴や実際の使用感をレビューしていきます。
RME『Babyface Pro FS』の特徴

Babyface Pro FSは、RMEから販売されている24チャンネル・192kHz対応のUSBオーディオインターフェイス。
本体には4系統のアナログ入力と4系統のアナログ出力を備え、さらにADATを利用すれば最大12入力・12出力まで拡張できます。
USB 2.0接続ながらバスパワーで動作し、RME独自のTotalMix FXやSteadyClock FSにも対応した、同社のコンパクトモデルです。
製品スペック
| サイズ | 108×181×35mm |
|---|---|
| 重量 | 680g |
| 最大入出力 | 12in / 12out ※44.1/48kHz時 |
| アナログ入力 | XLR Mic/Line×2、Line/Instrument×2 |
| アナログ出力 | XLR×2、Phones×2 |
| デジタル入出力 | ADAT または Optical SPDIF |
| MIDI | 1in / 1out |
| 最大サンプリングレート | 192kHz / 24bit |
| 接続 | USB 2.0 |
| 電源 | USBバスパワー / 外部電源 |
| マイクゲイン | -11〜+65dB |
| ファンタム電源 | 48V |
| 参考価格 | 143,000円 |
「12in / 12out」とありますが、これはADATを8チャンネル使える44.1/48kHz時に限ります。
96kHzではADATが4チャンネル、192kHzでは2チャンネルになるので、高いサンプリングレートを使うほど最大入出力数は減ります。
アナログだけを見ると4in / 4outなので、最初から大量のマイクやシンセを接続する用途には向きません。
ただ、必要になったらADAT対応のマイクプリやAD/DAコンバーターを足せるという、後からシステムを拡張できるのがBabyface Pro FSの良いところです。
外観デザイン・仕様

ボディはアルミ削り出しになっています。
シルバーを基調とした無骨なデザインで、いかにも業務用機材っぽさはあるんですが、この感じは結構好きで。
Apple製品とも合わせやすく、デスクの上に置いてもそれほど圧迫感がありません。
重量は680g。
サイズの割にはずっしりしていますが、軽すぎてケーブルに引っ張られるような感じもなく、デスク上ではむしろ安定しています。

背面には、2系統のXLR入力と2系統のXLR出力。


側面にはLine / Instrument入力、6.3mmと3.5mmのヘッドホン端子、ADAT / SPDIF、MIDIなどが配置されています。
マイク入力には個別に48Vファンタム電源を供給でき、最大+65dBまでゲインを上げられます。
入力のS/N比は113.7dB RMS、THD+Nは0.00035%未満と、録音側の性能も高水準です。
ギターなどを直接接続できる1MΩのInstrument入力も2系統あるので、宅録ならこの一台で幅広く対応できます。
ヘッドホン端子が6.3mmと3.5mmの2つあるのも珍しい仕様。
単純に端子サイズを変えただけではなく、それぞれ別のドライバー回路を搭載していて、3.5mm側は出力インピーダンス0.1Ω、6.3mm側は10Ωとなっています。
低インピーダンスのイヤホンから比較的駆動しにくいヘッドホンまで対応しやすい設計です。
ただし、2つの端子は別々のモニターミックスを出すための独立したステレオ出力ではなく、基本的には同じPhones 3/4の信号を出力します。
ですので、ここは複数人で別々のキューミックスを使いたい場合には注意したいところ。

天面には操作系がまとまっています。
中央の大きなロータリーエンコーダーは、指一本でクルクル回せて操作しやすくて。
この操作感、めちゃくちゃ気持ちいいんですよね。
ボリュームなどもLEDメーターで確認できるので、本体だけでも基本的な操作はしやすくなっています。



付属品にはUSB-B to C / USB-B to AケーブルやMIDIブレイクアウトケーブル、専用ハードケースなども含まれています。

端子には金メッキ処理も施されていて、腐食しにくく長期間接点を安定させやすい仕様で。
専用ケースに本体とケーブルをまとめられるので、持ち出して録音することまで考えられています。
『Babyface Pro FS』を使ってみて
ここからは、実際にBabyface Pro FSを使ってみて感じたことを紹介していきます。
音がめちゃくちゃクリアで、細かなところまで聴き取りやすい

このオーディオIFで初めて楽曲を再生した時、驚きました。
「めちゃくちゃクリアだな…」「こんな音も鳴ってたんだ」と。
音に派手な味付けをするというより、癖の少ないフラットな印象で。
細かな音まで聴き取りやすく、音と音の間や奥行きも感じ取りやすいというか。
DACとして使っても、この癖の少なさはとても気に入っています。
というのも、Babyface Pro FSにはRMEの「SteadyClock FS」が搭載されていて。
外部クロックに含まれるジッターの影響を抑えながら、AD/DA変換を安定させる設計になっています。
ざっくり言えば、デジタル音声のタイミングのズレを整えて、できるだけ正確に音を変換するための仕組みになっているということ。
さらに、メイン出力のダイナミックレンジは115dB RMS、THD+Nは0.0008%とスペック面でも優秀で。
つまり、細かな音まで拾いやすく、元の音に余計な歪みやノイズを加えにくい性能を持っているということです。
僕は基本、『GENELEC 8010A』と組み合わせて使っていますが、音源そのものをできるだけそのまま聴きたい僕には、すごく好みの組み合わせになっています。
録音側も低ノイズ。マイクプリは最大+65dB

再生音質ばかりに目が行きますが、DTMをするなら録音側も重要で。
Babyface Pro FSには2系統のデジタル制御マイクプリアンプが搭載されていて、最大+65dBまでゲインを上げられます。
PADまで含めた調整範囲は76dBあり、1dB単位で設定可能。
コンデンサーマイク用の48Vファンタム電源もそれぞれ個別にON/OFFできます。
そして、マイク入力のS/N比は113.7dB RMS、THD+Nは0.00035%未満と数値で見ても優秀で。
入力段階で加わるノイズや歪みが少なく、マイクから入った音をできるだけそのまま取り込める性能を持っています。
実際に声やギターを録音してみても、気になるノイズはほとんどなくて。音も素直な感じで録れるので、その後の編集もしやすいなと感じました。
個人制作で使うなら、十分すぎるほどの性能だと思います。
USB 2.0でも低レイテンシーで動作が安定している

スペックを見ると、USB 2.0は今どき古い規格に感じるかもしれません。
ですが、オーディオインターフェイスの場合は、USBの規格が新しいほどレイテンシーが小さくなるわけではなくて。
販売元のRMEは、USBインターフェイスのコアやドライバーを自社開発していて、低レイテンシーと安定動作を重視した設計を行っています。
そういう訳なので、「USB 2.0だから旧式で遅い」という見方はしなくて良いと思います。
僕自身もこれまで使っていて、接続が不安定になったり音が突然出なくなったりといったトラブルは経験していません。
RMEが「音質」と並んでドライバーの安定性でも評価される理由も、この辺りにあるんだろうなと思っています。
USBケーブル一本で動くのがめちゃくちゃラク
Babyface Pro FSは、別途ACアダプターを用意しなくても、PCとUSBケーブル一本で接続するだけで動かせます。
これがデスクでも持ち出しでもかなり便利で。
電源ケーブルが一本減るだけで配線はスッキリするし、MacBookとBabyface Pro FSだけでも録音環境を作れます。
高性能なオーディオIFなのに、システム自体はミニマルにできる。
これがBabyface Pro FSを選んだ大きな理由でもあります。
一方で、本体に電源スイッチがないため、USB接続中は基本的に電源が入ったままになるのは惜しいところ。
アイドル時の消費電力は2.8Wなので大きな電力ではありませんが、「使わない時は本体側でOFFにしたい」という僕としては電源ボタンが欲しかったなと。
なお、iPadとクラス・コンプライアント(CCモード)で接続する場合は、USBバスパワーではなく別途外部電源が必要となります。
TotalMix FXが、配信やDTMでめちゃくちゃ強い

そして、Babyface Pro FSを単なる「音の良いオーディオIF」で終わらせていないのが『TotalMix FX』。
これは、マイクなどの入力音、PCから再生される音、それらをどのスピーカーやヘッドホン、配信ソフトへ送るかを自由に決められる専用ソフトで。
今は実際にマイクを繋いで配信にも使っているんですが、配信を始めてからTotalMix FXの便利さをより実感するようになりました。
最初に開いた時は、「何だこれ、難しくて全然わからん…」となったんですが、仕組みが分かってくると思った以上に自由度が高くて。
例えば配信なら、マイク、BGM、DAWの音などをまとめてループバックし、配信ソフトへ送るような使い方もできます。
こういう複雑なルーティングを外部ミキサーなしで組めるのが大きな強みです。
さらに、TotalMix FXから3バンドのパラメトリックEQやLow Cutで音質を調整したり、リバーブやエコーといったエフェクトを掛けることもできます。
録音時に軽くリバーブを返したモニター音を作りつつ、DAWにはエフェクト前の音を録る、といった使い方も可能です。
実際に配信で使うようになってから、TotalMix FXの便利さをより実感するようになりました。もうこれ無しでは考えられないぐらい。
DTMを始めたら、さらに活躍してくれそうです。
ただし、Babyface Pro FSではDSPコンプレッサーやエキスパンダーは使えません。
TotalMix FX自体にはDynamics機能がありますが、ここはFireface UCX IIなど上位モデルとの差別化が図られています。
必要になったらADATで入出力を増やせる
本体だけならアナログ入力は4系統。
一人で配信やDTMをするなら十分ですが、ドラム録音や複数人での収録となると足りません。
そこで使えるのがADAT。
44.1/48kHzなら8チャンネル追加できるので、外部の8chマイクプリなどを接続すれば最大12系統のアナログ入力まで拡張できます。
最初は必要最低限の構成で使って、必要になったら後から増やすというように、本体を買い替えなくてもシステムを育てられるのは長く使う機材として大きなメリットだと思います。
ドライバーを長く更新してくれる安心感も大きい
RMEを選ぶ理由として、個人的に外せないポイントだと思っているのがソフトウェアサポート。
Babyface Pro FS自体は決して新しい製品ではありませんが、2026年に入ってもmacOS向けにもWindows向けにもドライバーが更新されています。
PC周辺機器って、本体が壊れるより先に「新しいOSでドライバーが使えなくなった」という理由で買い替えることもありますよね。
Babyface Pro FSくらいの価格になると、何年使えるかも性能のひとつだと思っています。
「絶対に10年使える」とまでは言えませんが、長期的にドライバーを更新してきたRMEの実績は、購入するうえでの安心材料になりました。
『Babyface Pro FS』レビューまとめ

今回は、RMEのオーディオインターフェイス『Babyface Pro FS』をレビューしました。
- 音楽鑑賞・配信・DTMを一台にまとめたい
- 音質にこだわってオーディオIFを選びたい
- マイク入力の品質や低ノイズ性能を重視したい
- TotalMix FXで細かくルーティングしたい
- USB駆動できるコンパクトな機材が欲しい
- 長く使えるオーディオIFを選びたい
約14万円という価格だけを見ると、決して気軽に買えるオーディオインターフェイスではありません。
でも、Babyface Pro FSの価値って、音質の良さだけでは無くて。
低ノイズなマイクプリ、低レイテンシーで安定したドライバー、TotalMix FX、ADATによる拡張性、それらをUSB駆動できるコンパクトな筐体にまとめている。
音楽鑑賞・配信・これからのDTMまで、長く使える一台にまとめたいなら、この価格にもちゃんと理由があると感じています。
今はDACと配信で使うことが中心ですが、これからDTMに用途が広がっても、そのまま使い続けられる余裕があるのが頼もしいなと。
最初から少し先のやりたいことまで見越して選んだからこそ、今でもこのオーディオIFを選んで良かったと思っています。


