音楽を聴くのが好きだからこそ、できるだけ音源そのものに近い音で聴いてみたい。
僕は推しアーティストの楽曲を聴いたり、ライブ映像を観たりするのが日々の楽しみで。
ギターも弾くので、将来的にDTMを始めることまで考えて、デスクに置けるスピーカーを探していました。
ただ、音質にはこだわりたいけど、大きなスピーカーを置いてデスクを圧迫するのはイヤで。
そんな中で吟味して選んだのが、GENELECの『8010A』というモニタースピーカーでした。

- ミニマルな北欧デザインがおしゃれ
- 小型ながらフラットで高解像なサウンド
- 音の定位や分離が分かりやすい
- MDE・DCWによって音響性能まで考えられた筐体
- 設置環境に合わせて低域を調整できる
- Iso-Podで角度調整と振動対策ができる
- ISSによる自動スタンバイに対応
- XLRバランス入力でオーディオIFと接続しやすい
- 低域の再生能力にはサイズなりの限界がある
- GLMによる自動キャリブレーションには非対応
- XLRケーブルが設置面に干渉することがある
北欧を思わせるミニマルな見た目とスピーカーとしては珍しい柔らかな曲面がめちゃくちゃ好みで。
しかも見た目が良いだけではなく、その形自体にちゃんと音響的な意味があって。
実際に音を鳴らしてみても、「こんなに小さいのに、ここまで細かく聴こえるのか…!」と感動しました。
そんなGENELEC 8010Aについて、特徴や実際の使用感をレビューしていきます。
『GENELEC(ジェネレック) 8010A』の特徴

8010Aは、GENELECの8000シリーズで最もコンパクトな2Wayアクティブモニタースピーカー。
幅121mm、奥行き115mmという小さな筐体に、低域・高域それぞれに25WのクラスDアンプを内蔵し、76mmのウーファーと19mmのメタルドームツイーターを搭載しています。
製品スペック
| カラー | ホワイト / ダークグレー / ブラック / RAW |
|---|---|
| サイズ | 高さ181mm×横幅121mm×奥行き115mm ※Iso-Pod装着時の高さ195mm |
| 重量 | 1.5kg |
| 素材 | ダイキャスト・アルミニウム |
| 形式 | 2Wayアクティブ |
| ウーファー | φ76mm コーン |
| ツイーター | φ19mm メタルドーム |
| アンプ | 25W+25W クラスD |
| クロスオーバー周波数 | 3kHz |
| 周波数特性 | 74Hz〜20kHz(±2.5dB) |
| -6dBカットオフ | 67Hz〜25kHz |
| 短時間最大SPL | 96dB SPL |
| 入力 | XLRバランス ×1 |
| 入力インピーダンス | 7kΩ |
| ISSスタンバイ時 | 0.5W以下 |
| 参考価格 | 79,200円(ペア) |
外観デザイン・仕様
ひと目見てGENELECだと分かる、丸みを帯びたアルミボディ。
購入したホワイトモデルは、ホワイトとグレーで全体が統一されていて、このミニマルな感じがめちゃくちゃ好みです。
そして、この曲面を描いた形にはちゃんと理由があって。
8010Aには、GENELECの「MDE(Minimum Diffraction Enclosure)」という筐体設計が採用されています。
一般的な四角いスピーカーでは、筐体の角で音が回折することで周波数特性や定位へ影響することがあります。
そこでGENELECは筐体の角を丸くし、前面から側面まで滑らかにつなげることで、不要な回折を減らす設計にしています。
単に可愛らしく見せるための曲線じゃないんですよね。
音を正確に再生するためにこの形になって、その結果としてデザインも美しくなっている。
まさに“機能美”という感じが、僕には刺さりました。
サイズは高さ18.1cm×幅12.1cm×奥行き11.5cmとコンパクト。
それでも低域・高域それぞれに25WのクラスDアンプを搭載し、短時間最大SPLは96dB。
デスク上で使うぶんには音量も十分で、僕自身も最大まで上げることはまずありません。
ツイーター周辺には「DCW(Directivity Control Waveguide)」を採用。
音の広がる方向をコントロールすることで、壁やデスクなどからの初期反射の影響を抑えつつ、リスニングポジション周辺で安定した周波数特性や定位を得やすくする仕組みとなっています。
背面にはXLR入力と電源端子、電源スイッチ、各種コントロールスイッチを配置。
入力はXLRバランスのみという、いかにもモニタースピーカーらしい潔い構成です。
Bluetoothや3.5mm入力などはありません。
また、8010Aは一般的なパッシブスピーカーではなく、アンプを内蔵したアクティブスピーカーとなっていて。
別途パワーアンプを用意する必要がないので、オーディオインターフェイスからそのまま接続して音を鳴らせます。
ちなみに、僕はRMEの『Babyface Pro FS』とXLRで接続して使っています。
さらに、8010Aでは低域と高域それぞれに専用アンプを搭載していて、ウーファーとツイーターを個別に駆動できるよう設計されています。
そして底面には、GENELEC独自の「Iso-Pod」が最初から装着されていて。
ゴムのような素材でスピーカーとデスクを分離することで、設置面へ伝わる不要な振動を抑えつつ、前後にスライドさせることでスピーカーを±15°傾けられます。
別途スタンドを用意しなくても、スピーカーを耳へ向けて角度調整できるのは良いところ。
僕はスピーカー高さを出すために別のスタンドを使っているので取り外していますが、標準でここまで考えられているのは嬉しいです。
『GENELEC 8010A』を使ってみて
ここからは、実際に8010Aを使ってみて感じたことを紹介していきます。
小さな音でも、細かなところまでクリアに聴き取れる
正直、舐めてました。
GENELECと言えども最小モデルの8010Aはそこそこのレベルかなと思っていたんですが、音を鳴らしてみると…
「えっ…?こんな小さい音でも、こんなにいろんな音がクリアに聴こえるの…?」
と思わず感動してしまいました。
ボーカル、ギター、ベース、ドラム、ストリングス、その他もろもろ。
「こんな音も入ってたんだ」と、今まで聴いていた楽曲にも新たな発見を得られるような感じで。
そして、音作りの印象としては、音に派手な味付けをするタイプではなく、癖の少ないフラットなサウンドに感じました。
実際、8010Aの周波数特性は74Hz〜20kHzで±2.5dBとされていて、この小さな筐体ながら可聴帯域の多くを比較的フラットに再生するよう設計されているそうです。
そして何より気に入っているのが、音の分離と定位の分かりやすさ。
左右だけじゃなく、
「この楽器は少し左」「これは中央より奥」
といった音の位置関係まで把握しやすくて。
ヘッドホンのように左右の音を直接耳へ届けるわけではないのに、スピーカーでも一音一音を追いかけやすいんですよね。
特に、ライブ映像なんかを見ていると、目の前で演奏されていると勘違いしてしまうほど音がリアルに聴こえてきて、もうスゴいです(語彙力)。
音源の良し悪しまで分かりやすい
一方で、8010Aは何でも気持ちよく聴かせてくれるスピーカーではないと思っています。
録音状態の良い楽曲は、
「うわぁ、めちゃくちゃ良い…」
となるんですが、逆に音源の粗さやバランスもそのまま見えやすくて。
良い意味でも悪い意味でも、誤魔化してくれません。
これは音楽鑑賞用として好みが分かれる部分でもあると思います。
低音を盛って迫力を出したり、高音を華やかにして気持ち良く聴かせてくれるスピーカーが好きなら、8010Aは少し真面目すぎるかもしれません。
でも僕は、作った側がどういう音作りをしているのかを分析するように聴き込むのが好きなので、この癖の少なさがむしろ求めていたものなんですよね。
将来的にDTMを始めたいと思って8010Aを選んだのも、こうした癖の少ない音で細かな部分まで確認しやすいからです。
低音にはやっぱりサイズなりの限界がある
音質には満足している8010Aですが、弱点を挙げるなら低域の物足りなさ。
公式スペックでは、フラットに近い範囲が74Hz〜20kHz(±2.5dB)、低域側の-6dBポイントが67Hzです。
つまり、70Hz前後より下の深い低音までしっかり確認するためのスピーカーではありません。
実際に使っていても、ベースやキックそのものはちゃんと聴こえるんですが、大型スピーカーやサブウーファーで感じるような、ズンと身体に響く低域は控えめ。
僕はデスク上で近距離から聴く使い方なので、このバランスでも不満はありません。
むしろ低音が必要以上に膨らまず、スッキリ聴けるところが好きだったりします。
もちろんDTMを始めるうえでは十分使えると思っていますが、将来的にサブベースまで含めて低域をより細かく判断したくなったら、サブウーファーの追加は考えたいところです。
GENELECも8010Aと7040Aサブウーファーの組み合わせを用意していて、7040Aを追加することで低域を30Hzまで拡張できます。
そう考えると、「8010Aは小さいのに低音まで全部出る」ではなく、「このサイズで正確に鳴らせる範囲をしっかり鳴らしている」と捉える方が、このスピーカーの性格に近いと思います。
環境に合わせて低域を調整できる
スピーカーって、同じモノを使っていても置く場所によって音が変わります。
特に低音は壁やデスクの影響を受けやすくて。
8010Aには、その影響を補正するための「Bass Tilt」と「Desktop」という2種類のルームレスポンスコントロールが搭載されています。
Bass Tiltは低域を、-2dB / -4dB / -6dBの3段階で減衰できます。
また、Desktopの方は、デスクなどの反射面へ置いた時に膨らみやすい200Hz付近を-4dB減衰させます。
GENELEC公式でも、壁際へ設置する場合はBass Tilt -4dB、反射するデスク上でニアフィールド使用する場合はDesktop ONとBass Tilt -2dBなど、環境ごとの目安が提示されています。
僕の場合はスタンドへ載せているものの、すぐ後ろに壁があるので、
- Bass Tilt:-4dB
- Desktop:OFF
で使っています。
このBass Tilt、思っていた以上に効果が分かりやすくて。
低域の膨らみが抑えられて、全体的にスッキリした印象になりました。
ただし、8010AはGENELECのSAMシリーズではないので、GLMを使った測定・自動キャリブレーションには対応していません。
あくまで背面のスイッチを使って自分で調整する方式になります。
Iso-Podは便利。でもXLRケーブルが干渉しやすい
標準のIso-Podはよくできています。
設置面からスピーカーを分離して振動を抑えられるうえ、そのまま角度も±15°調整できるという仕様。
デスクへ直接置いて使う場合でも、最初から角度調整と振動対策ができるようになっています。
ただ、8010Aは本体が小さいぶん、背面下部のXLR端子とデスクとの距離も短くて。
大きなXLRコネクターや硬めのケーブルを使うと、ケーブルが設置面に当たりやすいんですよね。
特にスピーカーを上向きに傾ける時は、コネクターがデスクにつっかえて思うように角度を付けられないことがあります。
これもあって、僕は最終的に別途スピーカースタンドを導入しました。
耳に近い高さまで上げられるだけでなく、ケーブル下にも余裕ができるので。
8010Aをデスク上で使うなら、スピーカー自体のサイズだけでなく、XLRコネクターを含めた背面スペースまで考えておいた方が良いと思います。
音を止めると自動でスタンバイになる
地味に便利なのが「ISS(Intelligent Signal Sensing)」。
8010Aは入力信号がない状態が続くと自動的に低消費電力のスタンバイへ移行し、再び信号が入ると自動で復帰します。
スタンバイ時の消費電力は0.5W以下。不要なら背面スイッチからISS自体を無効にもできます。
僕はデスクで使うことが多いので、毎回左右のスピーカー背面へ手を伸ばして電源をON/OFFしなくていいってのがありがたいです。
音質とは直接関係ありませんが、毎日使う機材だからこそ、こういう小さな使いやすさも気に入っています。
『GENELEC 8010A』レビューまとめ
今回は、GENELECの小型モニタースピーカー『8010A』をレビューしました。
- デスクに置ける小型モニタースピーカーが欲しい
- フラットで解像度の高い音を重視したい
- 楽曲の細かな音まで聴き込みたい
- DTMにも使えるスピーカーを選びたい
- 音質だけでなくデザインにもこだわりたい
- Babyface Pro FSなどのオーディオIFからXLR接続したい
8010Aを使い始めてから何年も経っていますが、今でもデスク用のスピーカーとして気に入っています。
小さいから音質を妥協するのではなく、この小さな筐体の中で正確に音を鳴らすことを突き詰めているというコンセプトが好きだなと。
低域にはサイズなりの限界がありますが、僕のようにデスクで音楽をじっくり聴いたり、将来的に制作にも使ったりする用途にはすごく合っています。
音質とコンパクトさを求めて選んだ8010Aですが、見た目の美しさまで、音を正確に鳴らすための設計から生まれているというのが、なんともたまりません。


